RSウイルス感染症
RSウイルス感染症について
RSウイルス感染症は、RSウイルスというウイルスによって引き起こされる呼吸器の感染症です。乳幼児期に多くの子どもが感染し、風邪のような症状から、重症化した場合には肺炎や細気管支炎(さいきかんしえん)といった重篤な呼吸器疾患を引き起こすことがあります。
特に、生後6ヶ月未満の赤ちゃんや、早産児、心臓や肺に基礎疾患を持つ子どもは重症化しやすいため、注意が必要です。
RSウイルス感染症の症状について
RSウイルス感染症の主な症状は、以下の通りです。
- 鼻水
- 咳
- 発熱
- 喘鳴(ぜんめい:ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音)
- 呼吸困難
- 多呼吸(たこきゅう:呼吸が速くなること)
- 哺乳不良(ほにゅうふりょう:ミルクや母乳をうまく飲めないこと)
多くの場合、最初は風邪のような症状で始まり、数日後に咳や喘鳴がひどくなることがあります。重症化すると、呼吸困難やチアノーゼ(皮膚や唇が青紫色になること)が見られることもあります。
大人の場合は、RSウイルスに感染しても軽い風邪のような症状で済むことがほとんどです。しかし、免疫力が低下している高齢者やまだ十分ではない乳幼児では、重症化するリスクがあります。
RSウイルス感染症の原因について
RSウイルスは、感染した人の咳やくしゃみ、またはウイルスが付着した手や物を介して感染します。感染力が非常に強く、保育園や幼稚園、家庭内で感染が広がりやすいのが特徴です。
RSウイルスは、冬に流行するイメージがあるかもしれませんが、日本では、近年では年間を通して感染が見られ、特に夏から秋にかけて流行することが多くなっています。
RSウイルス感染症の検査について
鼻の奥の粘液を綿棒で採取し、キットを使ってRSウイルスの抗原を検出します。 15分程度で結果がわかり、比較的短時間で診断が可能ですが、入院まで必要がない状態の比較的安定した患者さんにとっては、治療方針や登園の制限などは一般的な〝カゼ〟と変わりませんので、本人の苦痛や医療資源の観点から、対象は基本的には重症化リスクの高い方が望ましいと考えています。詳しくは診察室で医師にお尋ねください。
RSウイルス感染症の治療法について
RSウイルス感染症には、特効薬はありません。治療は、症状を和らげるための対症療法が中心となります。
- 安静と水分補給: 十分な休息を取り、水分をこまめに摂取することが大切です。
- 症状を和らげる薬: 咳や鼻水などの症状がひどい場合には、医師の指示に従って薬を使用します。
- 呼吸管理: 重症の場合には、入院して酸素投与や人工呼吸器による呼吸管理が必要になることがあります。
特に、乳幼児や基礎疾患を持つ子どもは重症化する可能性があるため、早めに医療機関を受診し全身状態の評価を定期的に行うことが重要です。
感染予防のために
RSウイルス感染症を予防するためには、以下の対策が有効です。
- 手洗い・うがい: 帰宅後や食事前など、こまめな手洗い・うがいを心がけましょう。
- マスクの着用: 人混みや医療機関など、感染リスクの高い場所ではマスクを着用しましょう。
- 室内環境の整備: 適切な湿度を保ち、換気を心がけましょう。
- 人混みを避ける: 特に乳幼児や高齢者、基礎疾患を持つ人は、人混みを避けるようにしましょう。
- 予防注射:早産児や一部の先天性疾患を有する児は重篤化を防ぐ目的でシナジス®(月1回)/ベイフォータス®(単回)を流行期に接種します。最近では、アプリスボ®という妊婦さんが接種できるワクチンもあります。
RSウイルス感染症について、ご心配なことやご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。