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頭の形(特に乳児期)

生まれたばかりの赤ちゃんの頭の形を見て、「なんだか少し歪んでいるかな?」と感じたことはありませんか?生まれたばかりの赤ちゃんや、生後数ヶ月の赤ちゃんの頭の形は、必ずしもきれいな丸型とは限りません。少し細長かったり、左右で形が違っていたりすることがあります。

これは決して珍しいことではなく、成長とともに自然に改善していくことが多いものです。しかし、中には注意が必要な場合もあります。このページでは、赤ちゃんの頭の形のアンバランスさについて、その原因、経過、病的なものとの見分け方、そして治療法についてご説明します。

頭の形のアンバランスさの原因について

赤ちゃんの頭の骨は、大人と違っていくつかの骨が組み合わさってできており、まだ完全にくっついていません。骨と骨の間には「泉門(せんもん)」と呼ばれる柔らかい部分があり、脳の成長に合わせて頭が大きくなるのを助けています。この柔らかさがあるために、赤ちゃんの頭の形は様々な要因で影響を受けやすいのです。

主な原因としては、以下のものが考えられます。

  • 出産時の影響: 産道を通る際に、赤ちゃんの頭が圧迫されることで一時的に形が歪むことがあります。これは自然なことで、多くの場合、数日から数週間で丸い形に戻ります。
  • 寝る向きの癖(体位性斜頭・斜頸): 生後、赤ちゃんがいつも同じ方向を向いて寝ていると、頭の特定の部分が長時間圧迫され、平らになったり歪んだりすることがあります。首の筋肉の緊張や動きの制限が原因で、いつも同じ方向を向きやすい赤ちゃんにも起こりやすいです。
  • 子宮内での姿勢: お母さんのお腹の中で、赤ちゃんが特定の姿勢を長く取っていた場合、生まれた時から頭の形が少し歪んでいることがあります。
  • 多胎妊娠: 双子や三つ子などの多胎妊娠の場合、子宮内が狭く、赤ちゃん同士が押し合うことで頭の形が影響を受けることがあります。

経過について

多くの場合、乳児期の頭の形のアンバランスさは、成長や寝返り、お座りといった頭部への圧低下とともに自然に改善していきます。首の筋肉が発達し、自分で頭を動かせるようになるにつれて、頭の特定の部分ばかりが圧迫される状態が解消されるためです。

体位性斜頭の場合でも、向き癖を改善したり、遊びの中で自然に様々な方向を向くように促したりすることで、徐々に目立たなくなることが多いです。

しかし、中には自然には改善しにくいケースや、病気が原因で頭の形が歪んでいる可能性もあります。そのため、気になる場合は自己判断せずに、早めに小児科医に相談することが大切です。

病的なものかについて

ほとんどの赤ちゃんの頭の形のアンバランスは、心配のないものです。しかし、以下のような場合は、病的な原因が隠れている可能性があるため、注意が必要です。

  • 頭の形が明らかに左右非対称で、成長とともに悪化しているように見える場合
  • 頭の特定の部位が異常に突出している、または陥没している場合
  • 大泉門(頭のてっぺんにある柔らかい部分)が異常に早く閉じている、または大きく膨らんでいる場合
    • 補足: 大泉門は、通常生後1歳半頃までに自然に閉じます。
  • 発達の遅れが見られる場合(首のすわりが遅い、寝返りができないなど)
  • 顔のゆがみや目の位置のずれが見られる場合

これらの症状が見られる場合は、頭蓋骨早期癒合症(ずがいこつそうきゆごうしょう)などの病気の可能性があります。頭蓋骨早期癒合症は、本来成長に合わせて開いているはずの頭の骨の縫い目が早く閉じてしまう病気で、脳の正常な発達を妨げる可能性があります。

治療法について

ほとんどの頭の形のアンバランスは自然に改善するため、特別な治療は必要ありません。しかし、体位性斜頭が重度の場合や、自然な改善が見られない場合には、以下のような治療が行われることがあります。

  • ポジショニング: 赤ちゃんの寝る向きや遊び方を変えることで、頭の特定の部分への圧迫を避けるようにします。授乳や抱っこの際にも、左右均等になるように工夫します。
  • タミータイム: 赤ちゃんが起きている時間に、うつ伏せにする時間を設けることで、首や背中の筋肉の発達を促し、頭の向き癖を改善する効果が期待できます。必ず大人の目の届くところで行いましょう。
  • 理学療法: 首の筋肉の緊張が強い場合(斜頸を伴う場合)には、理学療法士によるストレッチやマッサージなどの専門的なケアが行われることがあります。
  • ヘルメット療法: 重度の変形に対して、ヘルメットを装着して頭の形を矯正する方法があります。これは専門の医療機関で、医師の診断のもとに行われます。開始時期や装着期間など、細かな管理が必要です。
  • 手術: 頭蓋骨早期癒合症と診断された場合には、手術が必要となることがあります。手術によって、早期に癒合してしまった頭蓋骨の縫い目を広げ、脳の成長を促します。

赤ちゃんの頭の形について気になることがあれば、どんな些細なことでも構いませんので、当院の小児科医にご相談ください。適切な診断を行い、必要に応じて専門の医療機関をご紹介いたします。赤ちゃんの健やかな成長のために、私たちもサポートさせていただきます。

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