背骨の凹み(二分脊椎)
生まれたばかりの赤ちゃんの背中に、小さな凹みや皮膚の色の違い、毛が生えている部分などが見られることがあります。
これは二分脊椎(にぶんせきつい)と呼ばれる、生まれつきの病気のサインである可能性があります。
二分脊椎は、背骨の一部が完全に閉じずに形成されることで起こり、神経系の発達に影響を与えることがあります。
早期の発見と適切な医療的ケア、そして長期的なフォローアップが非常に重要です。
二分脊椎の原因について
二分脊椎は、妊娠初期(受胎後約1ヶ月以内)に、胎児の脊髄や脊椎が正常に形成されないことが原因で起こります。
具体的な原因はまだ完全には解明されていませんが、いくつかの要因が関与していると考えられています。
- 葉酸不足:妊娠初期の葉酸摂取不足が、二分脊椎のリスクを高めることが知られています。
- 遺伝的要因:ご家族に二分脊椎の方がいる場合、わずかにリスクが高くなる可能性があります。
- 環境要因:妊娠中の特定の薬物の使用や葉酸不足、母体の糖尿病などが関連することがあります。
二分脊椎の症状について
二分脊椎の症状は、その程度やどの部分の脊椎に異常があるかによって大きく異なります。
軽症の場合、皮膚の小さな異常が見られるだけで、神経系の症状はほとんどないことがあります(潜在性二分脊椎)。
一方、重症の場合(開放性二分脊椎)は、脊髄や神経が露出していることがあり、様々な症状を引き起こします。
主な症状としては、以下のものがあります。
- 背部の皮膚の異常:小さな凹み、色素沈着、血管腫、毛が生えている部分など。
- 下肢の麻痺や知覚障害:足の力が入りにくい、感覚が鈍いなど。
- 排泄機能の障害:尿や便のコントロールが難しい。
- 水頭症:脳脊髄液の流れが悪くなり、脳室に水が溜まることがあります。
- キアリ奇形:小脳の一部が脊柱管内に下垂することがあります。
- 側弯症や股関節脱臼:背骨や関節の形成異常を伴うことがあります。
二分脊椎に対する治療・フォローについて
二分脊椎の治療とフォローアップは、多岐にわたる専門的な医療チーム(脳神経外科医、整形外科医、泌尿器科医、リハビリテーション科医、看護師、ソーシャルワーカーなど)が連携して行われます。
- 手術:開放性二分脊椎の場合、生後早期に脊髄や神経を保護するための手術が行われます。水頭症を合併している場合は、シャント手術が必要となることがあります。
- リハビリテーション:運動療法や装具療法などを行い、残された機能を最大限に活かすための訓練を行います。
- 排泄管理:膀胱や直腸の機能を評価し、必要に応じて導尿や排便管理の指導、薬物療法などが行われます。
- 整形外科的治療:側弯症や股関節脱臼など、骨や関節の異常に対して、装具療法や手術が行われることがあります。
- 長期的なフォローアップ:成長に伴い、様々な合併症が出現する可能性があるため、定期的な診察と適切なケアが継続的に行われます。
二分脊椎のお子さんの成長には、医療的なサポートだけでなく、ご家族の理解と協力が不可欠です。
早期に診断を受け、適切な治療と長期的なフォローアップを行うことで、お子さんが可能な限り快適な生活を送れるよう支援していきます。
ご心配なことがあれば、遠慮なくご相談ください。