滑舌の悪さ
お子さんの言葉が聞き取りにくいと感じることはありませんか?
特定の音を間違えたり、どもったりする様子が見られる場合、それは滑舌(かつぜつ)の悪さによるものかもしれません。
滑舌とは、言葉をはっきりと発音する能力のことです。
成長とともに改善することもありますが、気になる場合は専門家に相談することで、よりスムーズな発音を促すことができます。
滑舌の悪さの原因について
滑舌が悪くなる原因は様々です。
- 発音器官の未発達:舌、唇、顎などの発音に必要な器官の動きが、まだ十分に発達していないことがあります。特に幼児期によく見られます。
- 構音器官の形態的な問題:舌小帯(舌の裏側のひだ)が短い、歯並びが悪いなど、発音器官の形に問題がある場合があります。
- 聴覚の問題:聞こえにくいことが原因で、正しい発音が習得できていないことがあります。
- 脳機能の発達:言葉を処理したり、発音をコントロールしたりする脳の機能の発達がゆっくりな場合があります。
- 習慣的な発音の癖:特定の音を間違ったまま覚えてしまい、それが癖になっていることがあります。
- 神経や筋肉の病気:まれに、神経や筋肉の病気が原因で滑舌が悪くなることがあります。
滑舌の悪さの症状について
滑舌の悪さの症状は、お子さんによって様々です。
- 特定の音の誤り:「さ行」が「た行」になる、「ら行」が「や行」になるなど、特定の音を違う音で発音する。
- 音の脱落:言葉の一部の音が抜けてしまう(例:「りんご」が「んご」になる)。
- 音の添加:本来ない音を付け加えてしまう(例:「いす」が「いうす」になる)。
- 音の置換:ある音を別の音に置き換える(例:「くるま」が「ちゅるま」になる)。
- どもり:同じ音を繰り返したり、言葉に詰まったりする。吃音(きつおん)とは区別が必要です。
- 全体的に不明瞭な発音:全体的にぼそぼそとしていて、何を言っているのか聞き取りにくい。
これらの症状は、年齢によってさまざまな発達段階で見られることもありますが、年齢に比べて目立つ場合や、コミュニケーションに支障が出ている場合は注意が必要です。
滑舌の悪さに対する治療・フォローについて
滑舌の悪さに対する治療やフォローは、原因や症状に合わせて行われます。
- 言語聴覚療法(げんごちょうかくりょうほう):言葉の専門家である言語聴覚士が、発音に必要な器官の訓練や、正しい発音の方法を指導します。遊びや絵カードなどを使いながら、楽しく練習を行います。
- 構音訓練:特定の音の発音を改善するための練習を行います。
- 聴覚スクリーニング:必要に応じて、聞こえの検査を行います。
- 舌小帯形成術:舌小帯(舌の下にある筋)が短いことが原因で滑舌が悪くなっている場合は、切開・縫合することで舌小帯を再形成することがあります。
- 歯科矯正:歯並びが原因で滑舌が悪くなっている場合は、歯科矯正を検討することがあります。
- 環境調整:周りの大人がゆっくりと話すことを心がけたり、お子さんの発音を無理に直そうとしないことが大切です。
- 経過観察:年齢とともに自然に改善することもあるため、定期的に経過を観察することがあります。
滑舌の改善には、早期からの適切な支援が重要です。
気になる症状があれば、まずは小児科にご相談ください。
必要に応じて、専門の医療機関や相談機関をご紹介いたします。