成長や発達のおくれ
お子さんの成長や発達は、ご家族にとって大きな関心事だと思います。「うちの子は、周りの子と比べて少しゆっくりなのかな?」と心配になることもあるかもしれません。子どもの成長と発達は、個人差が大きいものですが、目安となる時期があります。このページでは、一般的な小児の成長と発達の様子、心配なサイン、遅れを指摘された場合の対応、そして私たちにできることについてご説明します。
一般的な小児の成長と発達
お子さんの成長には、身長や体重といった体の成長だけでなく、言葉を話す、体を動かす、周りの人と関わるなどの発達も含まれます。以下は、各年齢における一般的な成長と発達の目安です。
- 1歳: つかまり立ちをしたり、数歩歩き始めたりする子もいます。「ママ」「パパ」など意味のある言葉を話す子も出てきます。指差しで興味のあるものを伝えようとします。
- 2歳: 二語文を話すようになる子が増えます。「ワンワン、いた」など簡単な会話ができるようになります。走ったり、ボールを蹴ったりするなど、活発に体を動かします。
- 3歳: 三語文やそれ以上の言葉で話せるようになり、「あれは何?」「どうして?」と質問が増えます。自分で服を脱ぎ着しようとしたり、簡単な絵を描いたりできるようになります。
- 4歳: 会話がよりスムーズになり、複雑な話も理解できるようになります。片足立ちで数秒間立ったり、ケンケンができたりする子もいます。友達との関わりが増え、一緒に遊ぶことを楽しみます。
- 5歳: 自分の名前や年齢を言え、ひらがなや数字に興味を持つ子もいます。スキップや縄跳びなど、より複雑な運動ができるようになります。ルールのある遊びも理解できるようになります。
- 6歳: 小学校に入学する頃で、読み書きや計算など、学習の基礎を身につけ始めます。集団での行動やルールを守ることがより重要になります。
上記の各年齢において心配となるような初見
もちろん個人差はありますが、以下のような様子が見られる場合は、念のため医師に相談してみることをお勧めします。
- 1歳: 全く言葉が出ない、指差しをしない、一人で座れない、物に興味を示さない。
- 2歳: 二語文が出ない、指示が理解できない、走るのを嫌がる、周りの子に関心がない。
- 3歳: 簡単な質問に答えられない、「これは何?」と聞かない、積み木を積むなどが苦手。
- 4歳: 会話が一方的で続かない、片足立ちができない、友達と遊ぶことを避ける。
- 5歳: 自分の名前や年齢が言えない、簡単な指示に従えない、ハサミを使うのが極端に苦手。
- 6歳: 簡単なひらがなや数字が読めない、友達とのトラブルが多い、指示を聞き取れない。
これらのサインは、あくまで目安です。気になることがあれば、些細なことでも遠慮なくご相談ください。
成長、発達の遅れを指摘された場合
乳幼児健診などで、お子さんの成長や発達の遅れを指摘されることがあるかもしれません。その際は、まず医師や保健師から詳しい説明を受け、今後の見通しや必要な支援について情報を得るようにしましょう。
成長や発達の遅れの原因は様々です。体質的なものや、個性によるゆっくりとしたペースであることも少なくありません。しかし、中には、より専門的な支援が必要な場合もあります。
大切なことは、焦らず、お子さんのペースに合わせて、できることを一つずつサポートしていくことです。
成長、発達の遅れの対策
成長や発達の遅れに対する対策は、お子さんの状態や原因によって異なります。
- 定期的な経過観察: 多くの場合は、定期的に成長や発達の様子を観察していくことで十分なこともあります。
- 環境調整: お子さんが興味を持てるような玩具や絵本を用意したり、積極的に話しかけたりするなど、発達を促す環境を整えることが大切です。
- 遊びを通じた発達支援: 遊びは、言葉や運動能力、社会性を育む上で非常に重要です。お子さんと一緒に遊ぶ中で、様々な経験をさせてあげましょう。
- 専門機関への相談・連携: 必要に応じて、児童発達支援センターや療育機関などの専門機関と連携し、専門的なアドバイスや支援を受けることができます。
- 補足: 療育(りょういく)とは、発達に遅れや心配のあるお子さんに対して、それぞれの発達段階に合わせて、日常生活や社会生活に必要な力を身につけるための支援を行うことです。
私たち小児科医は、お子さんの成長と発達を継続的に見守り、ご家族の不安や疑問に寄り添い、必要な情報提供や専門機関への紹介を行っています。もし、お子さんの成長や発達について気になることがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。一緒に、お子さんの成長をサポートしていきましょう。