心雑音、心電図異常
幼稚園や小学校の心臓検診で、「心雑音」や「心電図異常」を指摘されることがあります。
初めて言われると、ご心配になるかもしれません。
ここでは、学校検診で見つかる心雑音と心電図異常について、その概要とフォローアップについてご説明します
心雑音と心電図異常の概要
- 心雑音:心臓が血液を送り出す際に、心臓や血管の中で聞こえる音です。健康なお子さんでも聞こえる「機能性心雑音」と、心臓の病気が原因で聞こえる「器質性心雑音」があります。学校検診では、この音の有無や特徴を聴診器で確認します。
- 心電図異常:心臓が動く際に発生する電気信号を記録したものです。波形のパターンを分析することで、不整脈や心臓の筋肉の状態などがわかります。学校検診では、短時間の記録で異常がないかを確認します。
各々の原因について
心雑音の原因
- 機能性心雑音:成長期のお子さんによく見られ、心臓の構造や機能に問題がないのに聞こえる生理的な音です。発熱時や運動後など、心臓の動きが活発になると聞こえやすくなることがあります。
- 器質性心雑音:心臓の弁の異常(狭窄や逆流)、心臓の壁に穴が開いている(心室中隔欠損など)、血管の異常など、生まれつきの心臓病(先天性心疾患)や、まれに後天的な心臓病が原因で聞こえることがあります。
心電図異常の原因
- 洞性不整脈(どうせいふせいみゃく):健康なお子さんによく見られる、呼吸に合わせて心拍数が変動する生理的な不整脈です。
- 期外収縮(きがいしゅうしゅく):正常な拍動よりも早く起こる不整脈です。単発で頻度が少なければ、特に心配のないことが多いです。
- WPW症候群(ウォルフ・パーキンソン・ホワイトしょうこうぐん):心臓の電気信号の伝わり方に通常とは異なる経路がある病気です。
- QT延長症候群(キューティーえんちょうしょうこうぐん):心臓の電気的な興奮から回復するまでの時間が通常より長い病気で、まれに重篤な不整脈を引き起こすことがあります。
- 心筋症(しんきんしょう):心臓の筋肉の病気です。
各々のフォロー方法について
学校検診で心雑音や心電図異常を指摘された場合は、必ず医療機関(主に小児循環器科)を受診し、精密な検査を受けることが大切です。
心雑音のフォロー方法
- 心臓超音波検査(心エコー検査):超音波を使って心臓の形や動き、血液の流れなどを詳しく調べます。これにより、機能性か器質性かを判断し、器質性であればその原因を特定します。
- 胸部レントゲン検査:心臓の大きさや血管の状態を確認します。
- 心電図検査:心臓の電気的な活動を記録し、不整脈の有無などを確認します。
心電図異常のフォロー方法
- 心臓超音波検査(心エコー検査):心臓の構造的な異常がないかを確認します。
- ホルター心電図検査(24時間心電図):24時間心電図を記録し、日常生活中の不整脈の頻度や種類を詳しく調べます。
- 運動負荷心電図検査:運動中に心電図を記録し、運動によって誘発される不整脈や心臓の反応を確認します。
精密検査の結果、ほとんどの場合は心配のない機能性心雑音や、経過観察で良い心電図異常であることが多いです。
しかし、まれに治療が必要な病気が見つかることもあります。
当院では、診察させていただいた結果、慎重なフォローが必要と判断した場合は、トヨタ記念病院や豊田厚生病院などの総合病院をご紹介させていただいております。
ご心配な点があれば、まずは遠慮なく医師までご相談ください。