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尿検査異常

幼稚園や小学校で行われる尿検査は、お子さんの健康状態を知るための大切なスクリーニング検査です。
尿には、体の老廃物や余分な水分などが含まれており、その成分を調べることで、腎臓や膀胱などの病気、あるいは体の異常のサインが見つかることがあります。

  • 尿検査の概要:尿検査では、主に試験紙を使って尿に含まれる様々な成分を調べます。

尿検査異常の種類(血尿、蛋白尿)について

学校の尿検査で異常が見つかることが多いのは、「血尿」と「蛋白尿」です。

  • 血尿:尿に血液が混じっている状態です。見た目に赤い場合(肉眼的血尿:にくがんてきけつにょう)と、顕微鏡で見て初めてわかる場合(顕微鏡的血尿:けんびきょうてきけつにょう)があります。
  • 蛋白尿:尿に通常よりも多くの蛋白が排泄されている状態です。泡立ったような尿が出ることがありますが、多くは見た目ではわかりません。

異常指摘時の追加検査について

学校の尿検査で異常を指摘された場合は、必ず医療機関を受診し、追加の検査を受ける必要があります。
自己判断で放置したり、様子を見たりするのは危険です。
追加検査では、以下のような項目が行われることがあります。

  • 尿再検査:一時的な異常である可能性もあるため、もう一度尿を採取して詳しく調べます。早朝第一尿を採取することが多いです。
  • 尿沈渣(にょうちんさ):尿を遠心分離機にかけて、沈殿した成分(赤血球、白血球、細胞など)を顕微鏡で詳しく調べます。
  • 血液検査:腎臓の機能や炎症の有無などを調べます。
  • 超音波検査(エコー検査):腎臓や膀胱などの形や状態を画像で確認します。
  • 問診:症状や既往歴、家族歴などを詳しくお伺いします。

これらの検査の結果を総合的に判断して、異常の原因を探ります。

血尿、蛋白尿の原因(小児科領域メインで)

小児科領域でよく見られる血尿や蛋白尿の原因は様々です。

血尿の主な原因

  • IgA腎症(IgAじんしょう):腎臓の糸球体(血液をろ過する部分)にIgAという免疫物質が溜まることで炎症が起こる病気です。無症状のこともありますが、風邪の後に血尿が出ることがあります。
  • 溶連菌感染後糸球体腎炎(ようれんきんかんせんごしきゅうたいじんえん):溶連菌という細菌による感染症(のどの痛みなど)の後に、数週間経ってから血尿や蛋白尿、むくみなどが出ることがあります。
  • 尿路感染症(にょうろかんせんしょう):細菌が膀胱や腎臓に入り込んで炎症を起こす病気です。排尿時の痛みや発熱などを伴うことがあります。
  • 運動後血尿:激しい運動の後に一時的に血尿が出ることがあります。
  • 特発性血尿(とくはつせいけつにょう):明らかな原因が見つからない血尿です。経過観察となることが多いです。

蛋白尿の主な原因

  • 起立性蛋白尿(きりつせいたんぱくにょう):立っている時にだけ蛋白尿が出て、寝ている時には出ないものです。成長期のお子さんによく見られ、多くは心配ありませんが、定期的な経過観察が必要です。
  • 運動後蛋白尿:激しい運動の後に一時的に蛋白尿が出ることがあります。
  • 発熱性蛋白尿:発熱時に一時的に蛋白尿が出ることがあります。
  • 糸球体腎炎(しきゅうたいじんえん):IgA腎症や溶連菌感染後糸球体腎炎など、腎臓の糸球体に炎症が起こる病気です。蛋白尿を伴うことがあります。
  • ネフローゼ症候群:腎臓の病気で、大量の蛋白尿、むくみ、低蛋白血症などが起こります。

治療について

血尿や蛋白尿の治療は、原因となっている病気によって異なります。

  • IgA腎症:特効薬はなく、血圧管理や食事療法、対症療法などが行われます。定期的な経過観察が重要です。
  • 溶連菌感染後糸球体腎炎:基本的には安静にし、食事療法などを行います。多くは自然に治りますが、重症の場合は入院治療が必要となることがあります。
  • 尿路感染症:抗菌薬による治療を行います。
  • 起立性蛋白尿、運動後蛋白尿、発熱性蛋白尿:多くの場合、特別な治療は必要ありませんが、定期的な経過観察が行われることがあります。
  • ネフローゼ症候群:ステロイド薬や免疫抑制薬などを用いた治療が行われます。

尿検査で異常が見つかった場合は、自己判断せずに必ず医師の診察を受け、適切な診断と治療を受けるようにしてください。
ご心配なことがありましたら、当院の小児科医にご相談ください。

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