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低身長症

「うちの子は、周りの子と比べて背が低い気がする…」お子さんの成長について、そのような心配をお持ちではありませんか?
低身長症とは、同じ年齢・性別のお子さんの平均的な身長よりも明らかに低い状態を指します。
身長の伸びは、お子さんの健康状態や成長を把握する上で重要な指標の一つです。
気になる場合は、早めに医療機関にご相談ください。

低身長の症状・経過について

低身長の最も分かりやすい症状は、同年齢・同性別のお子さんと比べて身長が低いことです。具体的には、成長曲線という身長の変化を記録するグラフにおいて、平均値から大きく下回る場合や、成長のペースが緩やかな場合などが考えられます。

症状

  • 同年齢・同性別の平均身長と比較して、-2SD(標準偏差)以下である。
  • 補足:標準偏差とは、データのばらつきを示す指標です。-2SD以下は約2.3%のお子さんが該当します。
  • 成長曲線において、成長のペースが明らかに鈍化している。
  • 年間の身長の伸びが、年齢ごとの平均的な伸びよりも小さい。

経過

低身長の原因によって、その後の経過は異なります。

  • 体質性低身長:ご両親のどちらかが低身長であるなど、体質的に身長が低い場合は、成長のペースは平均的であることが多く、最終的な身長も低い傾向にあります。
  • 成長ホルモン分泌不全性低身長:成長ホルモンの分泌が不足している場合、成長のペースが遅く、治療によって身長の伸びが改善する可能性があります。
  • ターナー症候群などの染色体異常:女児に見られる染色体異常で、低身長の他に様々な特徴を伴うことがあります。
  • 甲状腺機能低下症などの内分泌疾患:ホルモンの異常が原因で低身長になることがあります。
  • 骨系統疾患:骨の成長に異常がある病気で、低身長や骨格の変形を伴うことがあります。
  • 子宮内発育遅延(SGA性低身長):お母さんのお腹の中で十分に成長できなかった赤ちゃんに、低身長が見られることがあります。
  • 特発性低身長:明らかな原因が見つからない低身長で、成長ホルモン治療の適応となる場合があります。

低身長の原因について(思春期早発症も含めて)

低身長の原因は多岐にわたります。

  • 内分泌系の異常:成長ホルモン分泌不全症:脳の下垂体から分泌される成長ホルモンの量が不足している。
  • 甲状腺機能低下症:甲状腺ホルモンの分泌が不足している。
  • 性ホルモン関連:思春期早発症により、一時的に身長が伸びるものの、骨の成長が早く止まってしまい最終的な身長が低くなることがあります。
  • 補足:思春期早発症とは、通常よりも早く(女の子で8歳未満、男の子で9歳未満)に乳房の発達や精巣の増大などの二次性徴が現れることです。同じ低身長でも、時期や治療方針が変わってきますので〝伸びすぎ?〟と感じた場合もご相談ください。
  • 遺伝的要因:体質性低身長など、ご家族からの遺伝的な影響。
  • 染色体異常:ターナー症候群など。
  • 骨や軟骨の病気:骨系統疾患など。
  • 慢性疾患:腎臓病、心臓病、慢性炎症性疾患など、体の慢性的な病気が成長に影響を与えることがあります。
  • 栄養不良:極端な偏食や栄養不足。
  • 子宮内発育遅延(SGA):出生時の体重や身長が在胎週数に比べて小さい。
  • 心理的・社会的な要因:極度のストレスや虐待などが成長に影響を与えることがあります(まれ)。
  • 特発性低身長:明らかな原因が見当たらないもの。

低身長症に対する医療機関で行う検査について

低身長の原因を特定し、適切な治療方針を立てるために、医療機関では様々な検査が行われます。

  • 問診:出生時の体重や身長、成長の経過、家族の身長、思春期の発来状況、病歴などを詳しくお伺いします。
  • 身体計測:身長、体重、座高などを正確に測定し、成長曲線に記録します。
  • 血液検査:成長ホルモン、甲状腺ホルモン、性ホルモンなどの内分泌機能や、染色体異常の有無、慢性疾患の有無などを調べます。
  • 尿検査:腎臓の病気などが原因で低身長になっている可能性がないかを調べます。
  • レントゲン検査(骨年齢):手の骨のレントゲン写真を撮影し、骨の成熟度を評価します。暦年齢と骨年齢のずれは、成長の予測や治療の適応を判断する上で重要です。思春期早発症の評価にも役立ちます。
  • 成長ホルモン分泌刺激試験:成長ホルモンの分泌能力を詳しく調べるための検査です。入院して行う場合があります。
  • 染色体検査:染色体異常が疑われる場合に行われます。
  • MRI検査:脳の画像検査を行い、成長ホルモンを分泌する脳下垂体に異常がないかなどを調べることがあります。

これらの検査を組み合わせて、低身長の原因を特定していきます。
思春期早発症が疑われる場合は、性ホルモンの検査や、より詳細な問診が行われます。

低身長症の治療適応や治療について

低身長症の治療は、原因によって異なります。

  • 原因疾患の治療:甲状腺機能低下症など、原因となる病気がある場合は、その病気の治療を優先します。思春期早発症に対しては、性ホルモンの分泌を抑える薬物療法が行われることがあります。
  • 成長ホルモン治療:成長ホルモン分泌不全性低身長、ターナー症候群、SGA性低身長、特発性低身長など、一定の基準を満たす場合に、成長ホルモン製剤を注射する治療が行われます。治療開始時期や投与量などは、個々の状態に合わせて慎重に決定されます。思春期早発症を合併している場合は、治療のタイミングなども考慮されます。
  • その他:骨系統疾患など、他の病気による低身長の場合は、それぞれの病状に応じた治療が行われます。

成長ホルモン治療は、身長を伸ばす効果が期待できますが、開始時期が早ければ早いほど効果が高いと言われています。
また、治療には定期的な通院と注射が必要となります。
低身長が気になる場合は、自己判断せずに、まずは小児科医にご相談ください。
適切な検査と診断に基づいて、お子さんの成長をサポートさせていただきます。
思春期早発症についても、早期の診断と適切な対応が大切です。

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