ロタウイルス
ロタウイルス感染症について
ロタウイルス感染症は、ロタウイルスというウイルスによって引き起こされる感染性胃腸炎です。乳幼児に多く見られ、激しい嘔吐や下痢を引き起こし、重症化すると脱水症状を起こすことがあります。特に、生後6ヶ月から2歳までの乳幼児は重症化しやすいため、注意が必要です。
ロタウイルス感染症は、一年を通して感染が見られますが、特に冬季(11月~3月頃)に流行します。
ロタウイルス感染症の症状について
ロタウイルス感染症の主な症状は、以下の通りです。
- 嘔吐:激しい嘔吐が数回から数十回続くことがあります。
- 下痢:水のような白い下痢が頻繁に起こります。
- 発熱:38℃以上の発熱が見られることがあります。
- 腹痛:腹部の不快感や痛みを感じることがあります。
- 脱水症状:嘔吐や下痢が続くと、脱水症状を引き起こすことがあります。
脱水症状のサインとしては、尿の量が減る、口や皮膚が乾燥する、ぐったりするなどが挙げられます。
ロタウイルス感染症の原因について
ロタウイルスは、感染した人の便や嘔吐物に含まれるウイルスが口に入ることで感染します。感染力が非常に強く、わずかな量のウイルスでも感染することがあります。主な感染経路は、以下の通りです。
- 経口感染:ウイルスが付着した手やおもちゃなどを介して口に入る。
- 飛沫感染:感染者の嘔吐物や便が飛び散り、それを吸い込む。
ロタウイルスワクチンについて
ロタウイルスワクチンは、ロタウイルス感染症を予防するためのワクチンです。乳幼児の重症化を防ぐ効果が期待できます。ワクチンには2種類あり、どちらも飲むタイプのワクチンです。
- ロタリックス:生後6週から接種可能で、4週間隔で2回接種します。
- ロタテック:生後6週から接種可能で、4週間隔で3回接種します。
当院では基本的にはロタリックスを採用しています。ロタウイルスワクチンは、定期接種(無料)で受けることができます。接種時期や回数については、医師と相談して決めましょう。
ロタウイルス感染症の治療法について
ロタウイルス感染症には、特効薬はありません。治療は、症状を和らげるための対症療法が中心となります。
- 水分補給:脱水症状を防ぐために、経口補水液や乳幼児用イオン飲料などをこまめに摂取します。
- 食事療法:嘔吐や下痢が落ち着いたら、消化の良い食事を少量ずつ与えます。
- 症状を和らげる薬:嘔吐や発熱がひどい場合には、医師の指示に従って薬を使用します。
重症の場合には、入院して点滴による水分補給が必要になることがあります。
ロタウイルス感染症の検査について
肛門内から綿棒で便を採取し、キットを使ってロタウイルスの抗原を検出します。 15分程度で結果がわかり、比較的短時間で診断が可能ですが、入院まで必要がない状態の比較的安定した患者さんにとっては、治療方針や登園の制限などは一般的な〝胃腸炎〟と変わりませんので、本人の苦痛や医療資源の観点から、対象は基本的には重症化リスクの高い方が望ましいと考えています。詳しくは診察室で医師にお尋ねください。
登園・登校の目安について
ロタウイルス感染症による登園・登校の明確な基準はありません。しかし、嘔吐や下痢などの症状がある間は、感染拡大を防ぐためにも自宅で安静に過ごすことが望ましいです。
登園・登校の再開については、以下の点を目安にしてください。
- 嘔吐や下痢などの症状が改善し、全身状態が良いこと。
- 医師の許可があること。
- 保育園や学校の指示に従うこと。
感染予防のために、手洗いやうがい、おむつの適切な処理などの基本的な対策を心がけましょう。
ロタウイルス感染症について、ご心配なことやご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。