アトピー性皮膚炎
病態
アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う湿疹が良くなったり悪くなったりを繰り返す、慢性の皮膚疾患です。赤ちゃんから大人まで、幅広い年齢層に見られますが、特に小児期に発症することが多く、成長とともに自然に軽快するケースもありますが、適切なケアが不十分だった場合、症状が固定化し快癒しにくくなってしまします。原因は、遺伝的な要因や環境的な要因などが複雑に絡み合っていると考えられています。
主な症状
- かゆみ: アトピー性皮膚炎の最も特徴的な症状です。
- 湿疹: 赤みやブツブツ、かさつきなど、様々な症状が現れます。
- 乾燥: 皮膚が乾燥しやすく、外部からの刺激に敏感になります。
診断
アトピー性皮膚炎の診断は、問診や皮膚の状態の観察などに基づいて行われます。
治療法
アトピー性皮膚炎の治療は、以下の3つの柱を中心に進められます。
1.洗浄
- 洗浄: 刺激の少ない石鹸や洗浄剤を使用し、大量の泡で関節や頸部周囲、耳といった汗や汚れが残りやすい部分まで優しく丁寧に洗います。洗おうと意識するあまり、ゴシゴシ擦ってしまうと皮膚を傷つけてしまうため注意が必要です。
2.薬物療法
- 保湿剤: 入浴後すぐに保湿剤を塗布し、皮膚の乾燥を防ぎます。
- 外用薬: ステロイド外用薬を症状に合わせて使用します。塗る面積はfinger tip unit(指の第一関節までチューブを出して、大人手のひら2枚分)が目安となります。2~3日の数日塗布で症状が改善すればまずはOKですが、短期間で消長を繰り返す場合はプロアクティブ療法(症状改善後も一定期間塗り続けて、皮下の炎症を完全に抑制する方法)も行います。
- 内服薬: かゆみが強い場合や、症状が改善しない場合には、抗ヒスタミン薬やステロイド内服薬などが用いられることがあります。
3.悪化要因の除去
- アレルゲン: アレルギーの原因となる物質を特定し、できるだけ避けるようにします。
- その他:汗や搔きむしり、乾燥、温熱・寒冷刺激、刺激の強い生活用品(洗剤、化粧品、化学繊維など)、肌に対する悪化要因と疑ったものをなるべく肌から遠ざけましょう。
上記3つをバランスよく行うことで、ケアなしでプルプルの肌にまで持っていくことは少し難しいかもしれませんが、肌によるトラブルで生活に支障(睡眠不足、集中力低下、他人から指摘されるなど…)をきたさない環境を保ち続けることは可能であり、かつ、とても重要です。逆に掻きむしりを何年にも渡り繰り返すことで、色素沈着や苔癬を招きもとのすべすべのお肌には戻らなくなってしまいます。アトピー性皮膚炎は、根気強く治療を続けることで、症状をコントロールし、快適な生活を送ることができます。