おたふくかぜ
おたふくかぜについて
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)は、ムンプスウイルスによって引き起こされる感染症です。主な症状は、耳下腺(じかせん)や顎下腺(がっかせん)の腫れと痛みで、子どもに多く見られます。感染力が強く、保育園や学校などで集団感染が起こりやすいのが特徴です。
おたふくかぜは、一年を通して感染が見られますが、特に冬から春にかけて流行することが多いです。
おたふくかぜ感染症の症状について
おたふくかぜ感染症の主な症状は、以下の通りです。
- 耳下腺・顎下腺の腫れと痛み:耳の下や顎の下が腫れて痛みます。70%ぐらいは両側が腫れることが多い(2~3日のラグあり)ですが、片側だけのこともあります。
- 発熱:38℃程度の発熱が見られることがあります。
- その他の症状:頭痛、食欲不振、倦怠感など。
これらの症状は、感染してから2~3週間後に現れます。通常、1週間から2週間程度で自然に治ります。
重症化した場合
- 無菌性髄膜炎:頭痛、嘔吐、意識障害などが現れることがあります。
- 脳炎:まれに、けいれんや意識障害などの重篤な症状が現れることがあります。
- 難聴:まれに、片側または両側の難聴が残ることがあります。
- 精巣炎・卵巣炎:思春期以降の男性では精巣が腫れて痛むことがあり、女性では卵巣が腫れて腹痛を起こすことがあります。
おたふくかぜ感染症の原因について
おたふくかぜは、ムンプスウイルスによって引き起こされ、主に以下の方法で感染します。
- 飛沫感染:感染した人の咳やくしゃみによってウイルスが飛び散り、それを吸い込むことで感染します。
- 接触感染:感染した人の唾液や鼻水などが付着したものを触り、その手で口や鼻を触ることで感染します。
感染力が強く、特に唾液中にウイルスが多く含まれるため、感染した人が触ったものを介して感染することがあります。
おたふくかぜワクチンについて
おたふくかぜワクチンは、おたふくかぜを予防するためのワクチンです。任意接種(有料)ではありますが、1歳・就学前のタイミングでの2回接種が推奨されています。ワクチンを接種することで、感染・重症化のリスクを大幅に減らすことができます(1回接種で約6割強、2回で9割弱)。
おたふくかぜ感染症の治療法について
おたふくかぜ感染症には、特効薬はありません。治療は、症状を和らげるための対症療法が中心となります。
- 安静と水分補給:十分な休息を取り、水分をこまめに摂取することが大切です。
- 症状を和らげる薬:発熱や痛みに対して、解熱鎮痛剤などを使用します。
- 食事療法:腫れや痛みが強い時は、柔らかく消化の良い食事をとりましょう。酸味の強いものや硬いものは、痛みを悪化させることがあります。
重症の場合には、入院して点滴などの治療が必要になることがあります。
おたふくかぜ感染症の検査
おたふくかぜ感染症の検査は、主に以下の方法で行われます。
- アミラーゼ:おたふく罹患時に唾液腺から分泌されるアミラーゼという項目を調べます。他疾患でも上昇するため、評価には注意が必要です。
- 抗体検査:血液を採取し、ムンプスウイルスに対する抗体の有無を調べます。結果が判明するまで時間がかかってしまうため、おたふくワクチンを今後接種するか迷われている場合は検討します。
登園・登校の目安について
おたふくかぜは、学校保健安全法により、耳下腺、顎下腺又は舌下腺の腫脹が発現した後5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで出席停止とされています。ただし、医師の許可を得て、全身状態が良いことを確認してからにしましょう。
感染予防のために、手洗いやうがい、タオルの共用を避けるなどの基本的な対策を心がけましょう。
おたふくかぜについて、ご心配なことやご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。